2016年10月10日

『甲賀忍法帖』は鉄板のエンターテイメント

漫画『バジリスク』等の原作にもなった、山田風太郎の名作小説『甲賀忍法帖』の魅力について語ります。

一冊おすすめの本を挙げるとしたら…

以前友人と、「もしも会ったばかりの、よく好みがわからない人に、一冊自分のおすすめの本を紹介するとしたら、何を紹介するか」という話で盛り上がったことがあります。

突然そんな話をされたのですが、まず最初に頭に浮かんだ本が山田風太郎の『甲賀忍法帖』でした。
今更紹介されるまでもない、超有名作品と言われるかもしれませんが、とにかく「誰にでも薦められるテッパン」といえば、この本だろうと思うのです。

冒頭にいきなりのネタバレ!

『甲賀忍法帖』は1958年に発表され、山田風太郎のいわゆる「忍法帖」シリーズの記念すべき一作目となっています。

晩年に差し掛かった徳川家康が、跡継ぎを竹千代、国千代のどちらにするか決めかねた挙句、甲賀・伊賀の忍者十人ずつを戦わせて、その勝敗によって決めようとすることから始まります。
物語冒頭、何と早々に「甲賀が勝てば国千代、伊賀が勝てば竹千代」という約束が示されます。つまり史実を知っていれば、この時点でどちらが勝つのかすでにわかってしまうのです。

しかし、この潔いネタバレにも関わらず、その後も面白く目が離せない、というのが本書のすごいところです。

とにかくエンターテイメント!

この本のグッとくるところといえば、その高いエンターテイメント性ではないでしょうか。

「忍法帖」ということで、当然忍者が出て来るわけですが、どう考えても「実際の忍者ってこんなんじゃないだろ」という感じのキャラクターばかり。特異体質を極めまくった結果、超能力ばりの能力を手に入れたという感じです。
「それは忍術じゃないだろ!」というツッコミもあるかもしれません。しかしエンターテイメントですから、史実にそぐわなくても面白ければいいのです。
加えてその現実離れした能力に、一見それっぽい解説を付けてくるところもたまりません。「よく考え付いたよなぁ」と感心してしまいます。

奇想天外なキャラクターあり、アクションあり、ラブストーリーあり、加えてエロチックなところもありと、本書には様々な楽しみがギュッと詰められているのです。

その敵、どうやって倒すの…?

『甲賀忍法帖』には、説明を読んだだけで「何それ滅茶苦茶強そう」と思うようなキャラクターが何人も登場しています。
相手を見ればその攻撃が跳ね返ってしまう忍者、異常な柔軟性のため、どんなに叩かれても効果がない忍者、致命傷を負っても治癒してしまう「不死」の忍者…「それ、どうやって倒すの?」というキャラクターが満載です。

ところがぶつかる敵との相性などによって、彼らはうまいこと倒されてしまうのです。「強い!」と思っていた忍者が互いにその数を減らしあっていく様は、パズルが噛みあっていく瞬間をみているようでもあります。

原作が一番おすすめ

『甲賀忍法帖』を原作として、『バジリスク~甲賀忍法帖~』(せがわまさき)や、映画『SHINOBI-HEART UNDER BLADE-』なども制作されています。しかしおすすめするなら、やはり原作が一番でしょう。

映画版は時間の関係か、キャラクターの数を大幅に削り、ストーリーも大きく変わってしまっています。
漫画版は原作に沿っており、素晴らしい作品ではありますが、私は原作の方がおすすめです。
なぜかと言えば、本書には「絶世の美女」や「とにかく印象に残らない顔」のキャラクターが登場するため。ひとたび絵や映像になってしまえば、そのキャラクターのイメージは、その絵や役者さんで固定されてしまいます。

「絶世の美女」などは人それぞれ、頭の中に存在するものではないでしょうか?絵などで示されるより、文章から自分で想像していた方が、より楽しめることと思います。

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