2016年10月24日

ユーザーチャンネルを閉鎖したニコニコ人気実況者の「ふぅ」は今何をしているのか

その昔、といっても1年ほど前、ニコニコ動画を騒がせ、そしてヒーローになりかけた男がいた。
その名は「ふぅ」。ニコニコの実況者である。
しかし、その男は一般人の年収を上回るであろう収益を生み出していたユーザーチャンネルを放棄し、迷走を続けている。

ミスターゲーム実況者と呼ばれた男はなぜこんなことになってしまったのか、そして今何をしているのか推測する記事を書いてみました。

ふぅという男

ふぅさんは2009年3月19日からニコニコ動画に実況動画を初めて投稿した、今となっては古参のゲーム実況者です。
不要なシーンのカットや倍速、テロップや雰囲気に合わせたSEの挿入など、動画編集も凝っており、そして徹底的にゲームをやりこむというスタイルから、正統派ゲーム実況者として人気を博しました。

中二病的な言い回しを持ち前のイケボで恥ずかしげも無く語り、持ち前のプレイスキルで、視聴者を飽きさせない動画の数々はニコニコ動画のゲーム実況者の中でも1,2を争うほど評価の高いものでした。

ただ、ふぅさんという男の特徴はもしかしたら動画投稿ではなく、実況者としてのあるスタンスにあったのかもしれません。
それは一切人前に出ず、一切の金銭を受け取らないという、いわゆる嫌儲志向です。

今となっては顔出しはおろか、ライブハウスを貸しきってイベントを行ったり、中にはマスメディアに出る人もいるほどゲーム実況者というのは市民権を得ています。
しかし、ふぅさんはそういったキラキラと輝くことを徹底的に糾弾し、またそれをニコニコ生放送などで公言していたほどです。

ふぅさん自身もSNSはおろかメールアドレスすら一切公開せず、また公式生放送などの運営からの数々の誘いも断ってきました。そしてそんなふぅさんのスタンスがある事件をキッカケに注目が集まることになります。

マリオメーカー問題

マリオメーカーとは任天堂から2015年9月にWii U向けに発売されたゲームソフトです。ニコニコ動画には「クリエイター奨励プログラム」というものがあり、これはメーカーに許諾を受けたゲームをプレイしてニコニコ動画に投稿すると、再生数やコメント数に応じて収入がもらえるというものです。

実際にクリエイター奨励プログラムが適用されてから、多くの有力実況者はプログラム対象のゲームをプレイすることが目立つようになり、それが一気に表面化したのがマリオメーカーでした。

ほとんどの有力実況者はゲーム発売直後にマリオメーカー動画をあげたことで、ニコニコ動画のランキングがマリオメーカーが占拠することになったのです。これに対して他のゲーム実況が見られない、あるいは新人のゲーム実況者が食い入る余地がなくなってしまうという問題が指摘され、ニコニコ動画全体を巻き込む騒動となりました。

 

そんな現状に一石を投じるどころか爆撃を仕掛けたのがふぅさんです。
ちなみにその時代に唯一アンチマリオメーカーとしてランキング上位に位置しており、上の画像で2位に入っているがふぅさんです。

そして、ふぅさんはこんな動画をアップロードしました。

「マリオメーカーにたった1人で挑んだ実況者のラジオ」
まあ実際にはたった一人ではなかったのですが、こんな感じで『たった一人』と言い切ってしまえるところが、ふぅさんの凄いところでもあります。

実際に動画を見てもらえればわかりますが、ふぅさん自身も有名実況であるにも関わらず、その他の有名実況者をこれでもかと糾弾しています。90万再生を獲得するほどの大きなメディアでこれだけ声を大にして糾弾した事例というのはもしかしたら、歴史上初めてのことかもしれません。

「俺はゲーム実況を愛している」「金のためにゲーム実況なんてやらないし、これからもやらない」と高らかに宣言したふぅさんはニコニコのヒーローになるはず、でした。

ふぅの誤算

しかし、あまりにもセンセーショナルな内容だったためか、それに乗じてアンチ活動をしてしまう人や、ふぅさんもニコニコ生放送でとある有名実況者3名を名指しして「彼らを批判したかっただけ」などと発言したことから、ふぅさんに対して徐々にネガティブイメージが強くなっていきました。

やがてマリオメーカー問題も収束していったころには、ふぅさんの知名度は確かに高まったものの、かつてのような正統派実況者ではなく、ネタキャラ的なイメージがどうしても強くなってしまいました。

また嫌儲志向を貫くふぅさんの思いもまた一枚岩ではなかったのです。

有名実況者はユーザーチャンネルを持つことで、ファンに限定動画や生放送を公開する代わりに月額料金を受け取ることができるため、多くのファンを抱える実況者は年収に換算すると何千万、キヨさんのようなトップともなると億の単位に乗せるほど高収益を得られるようになっていました。
(こちらの記事の試算ではキヨさんの年収は2億円超えとも算出されています)

当然ふぅさんも有名実況者であるため、ユーザーチャンネルを開く権利を持っており、もしも開けば何千万円という収入を得るというチャンスがあるにも関わらず、嫌儲志向を貫いていたためにそれができないというジレンマがあったのです。

突如としてユーザーチャンネルを開設

そんなふぅさんですが、2016年の4月1日にユーザーチャンネルの「ふぅチャンネル」開設を宣言します。エイプリルフールであったため、嘘なのでは?と多くの人が考えていましたが、嘘ではなく正真正銘の事実でした。

まさか実況を通じてお金を稼ぐことを糾弾していたふぅさんが、まさかチャンネル開設するとは…ということで大変な驚きが駆け巡りました。

それと同時にネタキャラ化しつつあったふぅさんのキャラクターは完全なるネタキャラへと確定しました。
ダークソウルのシリーズ動画を変わらずアップロードしていたのですが、冷やかしのコメントが大量につくなど、ニコニコ史上まれに見ぬ荒れ方をしてしまうことになります。

さらにふぅさんはチャンネル開設に留まらず、公式生放送にも出演し、一人で12時間ぶっ続けでダークソウルのトロフィーをコンプリートするという放送を行いました。

 

顔は仮面を被っていたので多くは見えませんが、声のイメージとは異なるルックスであったため、それも冷やかしの対象となってしまいました。

4ヶ月で突然のチャンネル閉鎖

来る2016年8月5日に、ふぅさんは突然チャンネルを閉鎖することを宣言した動画を投稿します。
実際にはチャンネルを閉鎖することは運営と話し合っていたそうですが、運営と歩調を合わせて閉鎖の告知をするはずが、たまりにたまっていたのか独断で動画を投稿してしまったそうです。

動画内では、これまで冷やかしの対象となっていた数々の論点について、丁寧に熱く反論しています。
あまりにも開き直った態度で逆に痛快な動画となっています。

ここで語られているのは以下のような内容です。

  •  実はユーザーチャンネルを開設したのはお金に目が眩んだからだった。周りがたくさんお金をもらっているのに自分が一銭も貰っていないことに不満があった。
  • 公式生放送に出た時の顔が揶揄されたことについて「しゃむしゃむ言われてっけど、俺本当はイケメンだから!」と語っている。しゃむとはsyamu_gameのことだと思われる。
  • 20代中盤だが童貞だし一度も彼女できたことはない。
  • TwitterをやめてSNS断ちする。LINEではお母さんとしかやり取りをしないとのこと。

このようになかなか興味深い内容で、ふぅさんのことを余り知らない方でも面白く見られると思うので、ぜひ視聴してみてください。

現在の活動

チャンネルが閉鎖されたことで、ふぅさんの足かせはなくなりこれまでのような面白い実況が見られる…かと思いきや最近の雲行きも怪しくなっています。
というのも度々動画を上げると宣言しながら何度もふいにされてしまっているからです。

例えばデレステのガチャ動画を上げると言ったもののお蔵入りとなっており、新シリーズの動画を9月にアップするといっていましたがそれもなされず、ダークソウル3のDLC動画も10月23日に投稿するといっていたものの、やはり投稿されませんでした。

またふぅさんの言い分も二転三転しているので、モチベーションの問題なのか?という憶測も飛んでいます。
一応単発動画なら現在もたまに投稿されているので引退はしていませんが、これまでのようなふぅさんをまた見ることができるのでしょうか?

あのイケイケだった頃のふぅさんをもう一度見てみたいですね。

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