2016年デビューのシンガーソングライター「NakamuraEmi」が30代女子にウケる理由
山崎まさよし、スキマスイッチ、秦基博など、美しい歌声で息の長い活動を行っているアーティストが多数所属するオフィスオーガスタ。
そこから2016年1月、異色のシンガーソングライターNakamuraEmiがデビューし、早くも30代女性から支持を集めている。
1982年生まれ、遅咲きの歌姫の人気の秘密とは?
歌詞の恋愛率の低さ
今まで女性歌手の曲といえば、恋愛を歌ったものがほとんどだった。
パッと頭に思い浮かぶヒット曲も、恋のときめきや失恋の切なさを歌ったものばかり。
でもぶっちゃけ、30代女性の脳内恋愛率って何%ぐらいだろう?
毎日くたくたになるまで働きながらひとり暮ししてる人、子育てに日々邁進している人などライフスタイルは様々だが、「若くてかわいければ許される」時代がすり抜けていったことを横目で見ながら、日々何かと格闘中の人がほとんどではないだろうか。
ちなみに、NakamuraEmiのデビューアルバム「NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST」の中で、恋愛対象である「あなた」が出てくるのは全10曲中1曲のみ!
では、NakamuraEmiは、一体何を歌っているのだろう?
歌詞にこめられた「女のリアル」
1982年生まれ、33歳でデビューしたNakamuraEmiは、デビューまでインディーズで活動しながら、正社員・アルバイト含め11の職業を経験している。
ざっと並べただけでも幼稚園の先生、ネジ屋の事務、自動車エンジン開発部、音楽スタジオの立ち上げスタッフ…。
彼女の歌詞には、男社会の中で生きながら、同時に正社員の甘い果実を齧りながら、歌手という夢と「まわりの声」という現実の間を揺れに揺れる「ホンネ」が、赤裸々すぎるぐらい赤裸々にぶつけられている。
ライブで喝采を浴びた翌日の月曜日、会社でIDカードを首からぶら下げ「女でもミュージシャンでもないあたし」に変わる自分。
このがっかり感、多かれ少なかれ誰でも、女性だけでなく男性も感じたことがあるのではないだろうか。
NakamuraEmiはメジャーデビューしてもなお、ステージの上で「選ばれなかったあたし」の人生を叫びつづけているのである。
そしてそこから生まれる強烈なメッセージ。
「自分だけの山を登れ。他人と比べるな。」
若い時に言うのはある意味簡単だ。
30代で、世の中のいろんな限界や妥協を見てきたからこそ刺さる言葉になっている。
しかし、NakamuraEmiの魅力は歌詞だけではない。
ジャンルにとらわれない音楽性
「NakamuraEmiって、どんな音楽?」こう聞かれるのが一番困ると、自身の曲の中でも歌っている。
初めて聞くと、次から次へと繰り出される歌詞のメッセージ性の強さやリズムから、「ラップ」や「HIP HOP」と頭の中で勝手に仕分けされるかもしれない。
しかしアルバム「NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST」を通して聞くと、JAZZやR&Bのテイストに彼女の歌詞がのって、早くもNakamuraEmiというひとつのジャンルを築いていることに気づくだろう。
刺さる歌詞なのに聞いているとなんだか心地いい。
それが、NakamuraEmiの曲が、日々の闘いでくたくたになった30代女性の耳に染み込む理由ではないだろうか。
メジャーデビュー1年目、カフェでのワンマンライブを始め全国の音楽イベントにも精力的に出演しているNakamuraEmi。
いずれ、小さい会場で身近に見られなくなる日が来るだろう。
それでも、そのときどきの「等身大」を見せてくれる限り、NakamuraEmiは「ニッポンのオンナの味方」であり続ける。