2016年10月13日

契約延長でダルビッシュの年俸は30億円超に?日本人史上最大の契約か

2012年にテキサス・レンジャーズと6年6000万ドルの契約で日ハムから移籍したダルビッシュですが、いよいよ来年には契約が満了し、FA権を獲得します。

怪我こそあったものの、レンジャーズのエースとして君臨してきたダルビッシュはチームにとって欠かせない存在であり、契約延長に向けて前向きなようです。
報道では年俸2500万ドル(26億円)、総額で1億ドル(104億円)にものぼる可能性があるとのことです。

現在日本人の最高年俸は田中将大で2200万ドルですから、これを上回る契約になれば日本人史上最高額の年俸ということになります。
ちなみにイチローでも最高の年俸が1800万ドルだったので、いかに田中将大やダルビッシュがメジャーから評価されているかがわかります。(もちろん先発投手は野手よりも年俸が上がりやすいという事情がありますが)

トミージョン手術からの見事な復帰

過去日本人選手は米国に渡ると、ほとんど例外なく肘を故障してきたという経緯があります。
田澤純一、松坂大輔、和田毅、藤川球児など挙げれば枚挙にいとまがありません。

もはやメジャーが日本人選手を獲得する場合、基本的に肘を壊して手術をするということは折込済みになっているようです。そのため前田健太は基本給が300万ドルと非常に低く抑えられており、しっかりと活躍することで10億円を超えるオプションがメインの契約となっています。
おそらくドジャースとしても前田健太はどこかで故障してしまうだろうと見ているのだと思います。

ダルビッシュもその例外ではなく、2015年のスプリングトレーニング中の登板で肘に違和感があり降板、翌日の検査では右肘側副靱帯の損傷が発覚してしまいます。
田中将大もメジャー初年度に右肘の靭帯部分断裂という故障に見舞われていますが、手術は回避したことで、長期離脱することなく登板していますが、ダルビッシュはトミージョン手術と呼ばれる、靭帯再建手術を受ける事になりました。(余談ですが、田中将大は手術を回避したことから、いつまた靭帯断裂などの故障に見舞われるか分からないというリスクを抱えています)

トミージョン手術というと、皆さんにとってむしろ馴染みがあるのはパワプロにあるかもしれません。
利き腕の左腕の靭帯を損傷したトミージョンという選手が受けた手術だったことからトミージョン手術と呼ばれるのですが、それを執刀したのはフランク・ジョーブという整形外科医です。

この人は村田兆治や桑田真澄といった日本の名選手にもトミージョン手術を執刀しており、そこから派生してパワプロシリーズでおなじみの「ダイジョーブ博士」が生まれています。

これまで靭帯損傷すれば選手生命に関わっていたものを、トミージョン手術を受けることで比較的リスクを抑えて復帰が可能になることから、一部では神話的に「トミージョン手術を受けることで球速が上がる」といった言い伝えがありますが、実際には選手の激しいリハビリトレーニングで上がっているだけで、手術自体にパフォーマンスアップをもたらす効果はありません。

むしろ手術を失敗するリスクもあり、むしろ手術を受けた選手の20%は一度もメジャーで復帰できていないという厳しいデータも存在しています。いかにダルビッシュといえども必ずまたマウンドに戻っくるとは限らないことも考えられたのです。

しかしダルビッシュはそんな苦境にあっても、徹底した肉体改造トレーニングに励み、体重を106kgまで増やし、屈強なメジャーリーガーに負けない肉体を作りこみました。
ダルビッシュといえば自己管理能力が異常とも言えるくらいに高いことは知られており、分刻みで食事のスケジュールを組み立て、不要なものはオフシーズンでも一切口にしないというスタイルを貫いていることから可能な肉体改造だったのでしょう。

その結果、怪我をするよりも平均球速が2キロ弱あがるほどのパフォーマンスを上げており、今シーズンは159キロという自己最速の球速を記録しています。
日本人としては大柄ながら、メジャーではむしろ変化球などの技術で対抗してきたことから、この急激な球速アップには首脳陣も驚いており、ダルビッシュが再度評価される要因にもなっています。

レンジャーズは再契約を希望

これまで日本人投手は野茂から始まり、黒田、岩隈などがアメリカでも多くのインパクトを残してきましたが、ダルビッシュの評価はその中でも一際高いものがあります。

メジャー2年目の2013年には日本の沢村賞に当たるサイヤング賞の投票で2位になったこともあるなど、全米でも代表的な投手として評価されています。
その後は先程書いたように肘の故障で戦線を離れていましたが、復帰した今年はこれまで以上のパフォーマンスを見せてダルビッシュ健在をアピールしています。

来年はレンジャーズとの契約の最終年かつFAの取得年でもあるため、今年に契約を延長できなければFAで流出してしまうことがほぼ確実な状況になります。
そこでレンジャーズとしては今オフに契約の延長をすることで、他チームとの争奪戦に巻き込まれないよう再契約の条件をこれから提示する模様です。

その額は年俸2500万ドル(26億円)、総額で1億ドル(104億円)前後になると見られており、ダルビッシュがそれを受諾するのであれば日本人選手として史上最高額の年俸ということになります。
これはもちろん野球以外を含めた日本人アスリート全体でも最高額です。

ダルビッシュ自身が移籍を希望しているかなどの情報は公にされておらず、契約延長されるのかどうかも不透明な状況ですが、今オフの大きな話題の一つとして目が離せないものであることに違いはありません。

2016年のメジャーリーグで活躍した日本人選手ランキング
2016年のメジャーリーグで活躍した日本人選手ランキング
2016年シーズンの日本人メジャーリーガーの活躍を振り返る記事です。イチローは日本のみならず全米で3000本安打ツアーと称した報道が連日行われ、ルーキーイヤーの前田健太の活躍や、ダルビッシュ有のトミージョン手術からの復帰など今年も見所満載の一年間でした。 そんな日本人選手たちの活躍を振り返り、来シーズンのメジャーリーグを楽しむキッカケとしていただければ幸いです。

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