『コインロッカーベイビーズ』の魅力
コインロッカーベイビーズという1980年に作家である村上龍によって書かれた小説です。数年前の小説でありながらも現在でもなお原作ファンの方は多くインターネット上でもさまざまな書評が見られるほどでもあります。2016年には舞台かもされ話題を集めました。
そんなコインロッカーベイビーズの魅力や、舞台と小説での違いなどもここでは述べていきたいと思います。
コインロッカーベイビーズって?
まずこの小説はコインロッカー幼児置き去り事件を題材としたものでありその名の通りコインロッカーに捨てられた2人の子供であるハシとキクの生き様を描いたものです。どちらの生き様も壮絶なものであり次々とくる展開に驚かされてしまいます。
2人とももちろん捨てられてしまっているために両親の存在を知らず同じ孤児院で育った2人はまさに兄弟のような存在となっていきます。2人の絆はとても強いものでもあります。
キクは無口でクールでありながらもハシに対してはとても熱い思いを持っており、逆にハシは昔キクと一緒に聞いた母親のお腹の中にいた時の心臓音がなんの音がわからずずっと探し続けます。
そのためこの小説では音というのがキーワードともなってくるのです。キクとハシ以外にもキクの恋人関係にもなるアネモネや、ハシの妻になるニヴァやハシをミュージシャンへ導いたプロデューサーのDなど数多くの登場人物が出てきます。
主人公でなくともこの登場人物たちのキャラクター性が濃く一人一人強烈な印象を与えるでしょう。
コインロッカーベイビーズの舞台と原作の違い
今まで映画化なども密かに考えられていたコインロッカーベイビーズでありますが2016年に初めて舞台化されることになりました。
舞台であるため何百ページもあるこの原作を2時間程度に凝縮しなくてはなりません。そのため主要な登場人物しか出てこないのですが、一番初めに少し登場するだけのアネモネを乗せた少しおかしなタクシー運転手も登場するなど原作ファンの方にとってはとても見ごたえのある舞台であります。
その中でも小説では伝わらないミュージシャンのハシが歌っている姿を見れたり、舞台特有の劇中歌が聞けて原作を読んでいない人にも簡潔にわかりやすい舞台となっていました。
やはり舞台の魅力は劇中歌が聞けてその人物の心情を正確に表現することができることではないでしょうか。
少し原作を読んでいて自分では想像しきれなかった部分もこの舞台版を見て納得することも出来たのでそれはとても良かったと思います。
最後に、コインロッカーベイビーズの魅力
コインロッカーベイビーズの魅力はやはり小説でありながらもスリルや刺激があるところでしょうか。
ですがそんな刺激がありながらも深く考えたくなるような場面もあります。またこの原作のファンの方は男性の方が多く男性の方に好まれるような作品でもあります。
そして、登場人物一人一人視点で描かれておりどんなことを思っていたのかという心情がわかりやすくなっておるのもまた魅力でしょう。
小説ではきっちりとした終わり方はしていないのですがこの後ハシとキクはどうなってしまったのだろうかと想像してみるのも楽しみとなるでしょう。