いつまでも色褪せない映画「レオン」
映画「レオン」は1994年にフランスとアメリカの合作で作られた映画です。
表の顔はイタリアンレストランの経営者だが、裏の顔は殺し屋である「トニー」と、父親や義姉から虐待を受ける「マチルダ」が出会ったことからストーリーは始まります。
マチルダの家族に起こった悲劇から物語は激しく動き出し、クライマックスはあまりにも劇的なこの映画は日本でも話題になりました。そんな映画「レオン」についてのエッセイです。
私が今まで見た映画の中で、不動の名作No.1「レオン」について紹介したいと思います。
マチルダとレオンとの出会い
「レオン」を初めて見たのは小学生の頃、日曜ロードーショーでの放送でした。
マチルダの儚いながらも可憐で、今にも壊れそうなのに芯の一本通った強さ。
服装も今見ても全く古くさくなく、とにかく可愛いです。
少女から女性へと変わっていくその狭間ならではの魅力に溢れていて、このナタリー・ポートマンは神がかっています。初めて見た時は衝撃的でした。
マチルダは両親、姉からは疎まれ、時には暴力をふるわれる日々。
そんな中で弟だけはマチルダにとって大事な存在でした。
そしてそのマチルダ一家の隣に住んでいたのが冷酷無比で孤独な暗殺者、レオン。
淡々と正確に仕事をこなし、自宅でもストイックなルーティンをこなし、唯一人間らしいと感じるのは自身が大切にしている観葉植物の手入れ。
眠る時にも油断せず、傍らに銃を置いて座ったまま目を閉じるー。
交差することのないはずの2人の運命が、マチルダの家族が殺され、レオンが彼女をかくまったことで絡まっていきます。
家族とも恋人とも呼べない「愛」
レオンがマチルダを匿ったことで、2人は奇妙な 共同生活を送ることになります。
弟の仇をとりたいマチルダに、葛藤しながらも暗殺の術を伝えるレオン。
そんな非日常の中で、時には本当の親子のように、恋人のようにじゃれあう日常はなんとも切ないながらも美しいです。
そしてマチルダから「愛」を知るレオンの複雑な心情が映画を見ている者の心に語りかけてきます。
ゲイリー・オールドマンの圧倒的存在
私が悪役フェチなのがおそらくこの方が原因(笑)
この人なしではレオンは語れない、それほど突出した存在感を放っており主役の2人をより際立たせています。
麻薬捜査官ながら麻薬中毒で薬の横流しまでこなす最低の役柄ですが、それをゲイリー・オールドマンは最高に演じきっています。
もう憎くて憎くて堪らないのに、危ない色気と狂気すら感じる姿がぶっちゃけかなり魅力的です(笑)
罪を犯したものは償わなければいけない
映画の結末は悲しいものです。ですがこの映画のもつ意味のひとつに「罪を犯したものは、相応の罰をうけなければいけない」ということを伝えたかったのではないでしょうか。マチルダのおかげで人間らしさを知ったレオンですが、数々の人を殺してきた事実は曲げようがありません。ここでレオンも生き延び日常に戻ってしまっては、この映画の根底を覆してしまう。
映画の序盤から、心のどこかでこうなることはわかっていたのに、やはりレオンとマチルダには幸せになって欲しいと思わずにいられません。
でもだからこその美しさがあるのだと思います。
最後のシーンで、マチルダはレオンの大事にしていた観葉植物を埋めます。
こうすることでレオンとの別れをつげ、1人生きていく決意を固めるマチルダに、もう少女の姿はありません。
映像ひとつひとつに意味があり、素晴らしい影像美と役者達の演技にとにかく目が離せません。ぜひ「レオン」の世界に一度どっぷりと浸かってみてはいかがでしょう。