ジャンプの次期看板候補の「ブラッククローバー」は新世代の王道漫画
週刊少年ジャンプといえば、友情努力勝利が謳い文句の日本を代表する漫画雑誌です。
ただ2000年代中盤くらいからONE PIECEやNARUTOに変わるような看板漫画が登場せず、長らく新人作家が不作だと言われてきました。
そんな中で、ブラッククローバーは次世代の看板候補だとして最近人気急上昇中なんです。
2015年の12号から連載開始しており、現在はまだ8巻までしかでていませんが、既にアニメ化も決まっており、また一段と人気が上がること間違いなしです。
ブラッククローバーのあらすじや、魅力、おすすめポイントなどを紹介していきたいと思います。
ブラッククローバーの概要
まずはブラッククローバーがどんな漫画かを説明していきます。
ブラッククローバーの舞台背景は中世ヨーロッパ風の架空の世界です。
現代日本からするとちょっとかけ離れていますが、ヨーロッパ風の身分社会が投影されているのが特徴です。
この世界では人々が魔法を操る魔力を持っており、その魔力の強さが身分にもつながっています。また魔力以外でも出自による身分も存在しており、「王貴界」と呼ばれる場所で生まれたものは王族として扱われ、また魔力に恵まれていることから、特権的な地位を持っています。
そんな背景の中で、主人公のアスタは赤ん坊の時に協会に捨てられた孤児であり、かつ魔力を一切持たないという、まさに底辺からのスタートとなっています。
非常に身分制度の強い世界観のため、アスタは事あるごとに「貧民のくせに」だったり「魔力がないくせに」という風にバカにされてしまいますが、持ち前のガッツとある能力によってそんな声をねじ伏せます。
また魔法能力を使って治安の維持を行う「魔法騎士団」と言うものが存在します。イメージ的にはハリーポッターの組分けに近いもので、優秀でないといけない騎士団もあれば、ならず者が集う騎士団もあります。
そこでもやはり格付けが明確にされており、最も格が高いのが「金色の夜明け」で、最も低いのが「黒の棒牛」と呼ばれるところです。
アスタも騎士団への入団に名乗りをあげますが、やはり出自も魔力も恵まれないだけあってほとんど見向きされませんでしたが、唯一ならず者たちの集まりである黒の暴牛にだけは入団を許可されます。
一癖も二癖もあるものたちの集まりなのですが、アスタを中心に徐々にお互いの信頼が芽生え始め、いつしかチームワークを駆使して強敵を退けるようになります。
一人の圧倒的な力で、というわけではなく、ほとんどの場合がお互いの力を集結してというシーンが多いのも特徴で、いかにも友情努力勝利が含まれた展開になっています。
あらすじ (ネタバレあり)
それではブラッククローバーの簡単なあらすじを書いていきます。これはネタバレを含んでおりますので、まだ読んでいない方、核心的な内容を知りたくない方は読み飛ばしてしまってください。
以下、あらすじです↓
アスタは赤ん坊の頃に教会に捨てられた孤児でした。また同じ日に教会に捨てられて同い年のユノとは親友で、お互いが魔道士の頂点である「魔法帝」を目指しており、どちらが先に魔法帝になれるかを競い合っていました。
やがて15歳になると、一人ひとりに魔導書(グリモワール)が授与されるようになります。ユノをはじめたとした教会の子どもたちは次々と魔導書を受け取りますが、アスタにだけは与えられませんでした。なぜならアスタは魔力を一切持っていなかったからです。
一方でユノは四つ葉のクローバーが刻印された伝説の魔導書を受け取っており、まさに始まりは天と地ほど離れたものでした。
アスタは魔力を一切持たないという事実に絶望し、魔法帝を志すことを諦めかけますが、ある日、村が盗賊に襲われます。四つ葉のクローバーの魔導書を持つユノはそれを狙われ、窮地に陥りますが、それを見たアスタは意思に共鳴するかのごとく、相手の魔法を無効化する「反魔法の魔導書」を手にすることができ、盗賊を撃退します。
またその時にユノがまだアスタを共に魔法帝の座を争うライバルと思っていることに気づき、アスタは再び魔法帝への道を歩み始めます。
反魔法の能力を持ったアスタはユノとともに魔法騎士団への入団を求めて審査を受けますが、魔力を持たないアスタに興味を示したのはならず者集団である「黒の暴牛」だけでした。
ユノは貧民出身でありながら、伝説の魔導書を持っていることが評価され、最上位である「金色の夜明け」に入団したことで、お互いが全く別のルートから魔法帝を目指すことになります。
アスタは黒の暴牛に入りましたが、そこは癖ばかり持った魔導士が集まっており、当初は個々人がバラバラに行動する自分勝手なチームでした。
ですが、道中で度々敵と遭遇し、アスタを中心にそれらの敵を跳ね除けるうちに、いつしかお互いの結束が芽生えていきます。(ちなみに敵というのは主に魔法騎士団による統治を好まず、新たな統治を作ろうとする反逆者たちです)
特にヒロインであるノエルは王族出身ながら、魔法が満足に使えないことから、同じ王族出身の魔導士にないがしろにされてきたのですが、アスタの姿を見ている内に心をひらいていき、また眠っていた魔力をコントロールできるようになるなど目覚ましい成長を遂げていきます。
ノエルだけでなくそれぞれが自分の才能を周りに活かすことを覚え始め、強大な敵をも退けることも可能になりました。
しかしアスタは強敵との激戦を繰り広げた結果、腕がズタズタになってしまいもう二度と元に戻らないと言われてしまいます。それでも持ち前のガッツで諦めることはせず、仲間とともに治療する方法を探しに旅にでました。
ブラッククローバーの魅力
あらすじを読んでいただければ分かるように、ブラッククローバーはまさに王道の中心を突っ切るような作品で、ややもするといかにもな展開が続くために先が読めてしまうこともあります。
例えば「出自をバカにされるけれどそれを跳ね返る場面」や「敵がアスタたちを絶望に追い込むけれど、絶対に諦めない場面」などはいわゆるお約束であり、もしかしたら漫画を初めて読むような子供でさえ先の展開を予想することができるかもしれません。
しかしそれは作者にストーリーを描く能力がないのではなく、あえて真正面からそんな王道の展開を突っ切り、そして面白い展開を作っていることがブラッククローバーの魅力なのだと思います。
アスタの諦めない力
主人公のアスタは魔力こそありませんが、相手の魔法を打ち消す能力と人並み外れた身体能力を持っています。
これは敵を軽々と倒すことは出来ないけれど、格上の相手でも反魔法が通じれば相手の攻撃を封じることができる、という相手にとっては非常に厄介な能力です。
また持ち前の身体能力を活かして猪突猛進してくるので、敵からしたら弱いけれど気を抜いたらやられてしまうような厄介な人間に見えるでしょう。
あまり強くない敵は勝手に油断してくれて倒すことができるのですが、やはり一定以上のランクの敵ともなると油断することなく、全力で叩き潰しにくるので、やはりアスタはやられてしまいます。
しかしアスタはもともと魔力がない所から魔法帝を目指すという途方もない目標を掲げており、また親友のユノがそんな自分を見捨てずにライバルと思ってくれていることもあり、目の前の恐怖や絶望から逃げないという強さを持ってます。
そこは少年漫画のお約束なのかもしれませんが、逃げずに最後まで立ち向かっていると、針の穴ほどの小さなチャンスが巡ってきて、それに乗じて一発逆転の攻撃を喰らわせて勝利を収めます。
ありきたりな描写ではありますが、絶望とそれに屈しない強い心をストレートに描いていて、少年漫画かくあるべしという所を再認識させられるところでもあります。
黒の暴牛のチームワーク
黒の暴牛のメンバーは皆ポテンシャルはあるものの、どこかやさぐれてしまったり、挫折してしまった人たちの集まりで、当初はバラバラでチームワークとは程遠いチームでした。
しかしアスタの戦闘や姿勢を目の当たりにしたメンバーたちは、自分が本来目指していた原点を思い出し、優れたポテンシャルを誰かのために使うようになっていきます。
極度のシスコンであるゴーシュに至っては、妹さえ無事なら他の人間はどうなってもいいとして襲撃されている人達を見捨てるほどでしたが、今では率先して他のメンバーの能力の活かし方を説くなど、見違えるほどになっています。
いわゆる仲良しではないけれど、心の底ではつながっている真の友情を体現しているのがこの黒の暴牛なのだと思います。
今後のブラッククローバーについて
これを書いている現在では、まだ80話ほどでアスタの腕を治療する旅に出ている最中です。
長期連載化が当たり前になっているジャンプではまだ序盤に過ぎず、これからもクオリティが維持されれば、ますます人気が上がっていくのは間違いないでしょう。
またアニメ化も決定しており、おそらく2017年には放映されることから、そこから一段と人気が出ると思われます。同じジャンプで言うと黒子のバスケなどはアニメ化によって一気に火がついた作品です。
王道のストーリー漫画であるブラッククローバーはジャンプの看板候補として期待されており、今の所「僕のヒーローアカデミア」とこのブラッククローバーが2トップと呼ばれているほどです。
長年のジャンプファンとして新人が不作だと言われるのは悲しいものがありますので、ブラッククローバーにはそんな声を打ち破るような作品に成長してほしいと願っています。
漫画を普段あまり読まない方でも、いやむしろ読んでいない方だからこそ楽しめる漫画だと思いますので、興味があればぜひ一度読んでみてください。
- メディアKindle版
- 作者田畠裕基
- 出版・メーカー集英社
- 発売日2015-06-18