2016年11月03日

個別指導塾のアルバイト経験者が評判や時給などの実情を紹介

塾講師は受験を頑張った大学生の中でも人気のアルバイトですが、その中でも個別指導塾のアルバイトの良いところや悪いところについて、自分の体験から紹介したいと思います。

私自身が体験した職場は一つだけで、そこに二年勤務していましたが、全国でも有数の後者数を誇るところでしたので、ある程度一般化できる事例だと思います。
(もちろん同じ系列でも職場の雰囲気が異なるということもありますが、仕事の内容や待遇に関しては一律なのでした)

個別指導か集団指導か

まず塾講師には大きく分けて個別指導か集団指導かの2つがあります。中には両方共受け持っている塾もありますが、基本的にはどちらかを専門的にやっていることが多いでしょう。

私自身は個別指導しかやったことはありませんが、集団指導のアルバイトをしていた友人とはよくアルバイトについて話していたので、その情報を交えて両者を比較して見ます。

給与

給与は集団指導の方が多くなっています。
体感的には個別指導の時給の相場は1500円ほど、集団指導は時給2500円ほどでしょうか。

教える生徒数が多いほうが塾としても時間あたりの収入が多いので、集団指導のほうが多くなるのは仕方ないでしょう。

授業準備

集団指導の方が何倍も準備時間がかかります。
個別指導の場合は自分が担当している生徒に応じて、授業の最中に柔軟に予定を変更することができるのですが、集団指導の場合は厳密にスケジュールを立てて行わなくてはなりません。

また生徒のレベルも一律ではないので、教材に応じてどれくらいの時間を割くかを決めておかなくてはなりませんし、スケジュールリングを誤ると生徒からもダメな先生というレッテルを貼られてしまいかねません。
その点、個別指導では一コマ一コマの内容はアドリブで対応しても良いですし、生徒のレベルも頭に入っているので集団指導よりは随分楽になります。

授業の難易度

これは授業準備とも関係してくるのですが、集団指導の方が比較にならないくらい難しいです。
同じクラスでも生徒のレベルが違うので、落とし所を見つけないといけないところや、最悪先生の質が低いことが生徒に看破されるとナメられてしまって授業にならないこともあるそうです。

個別指導でも生徒が思うように授業に集中してくれないことはよくありますが、やはり生徒との距離が物理的にも近いので、授業を放棄してしまうようなケースは自分の周りでは聞いたことがありません。

まとめ

給与、授業準備、難易度という点で比較すると、集団指導塾の方が授業自体の時給は良いですが、準備や難易度の点で大変だし時間も取られる傾向にあります。

これは後で詳しく書いていることですが、授業準備というのは非常にくせもので、実質的な時給はほとんどここで決まると行っても過言ではありません。授業以外のタスクは慣れてくると時間はほぼ均質化されるのですが、授業準備はそうもいかないのです。

個別指導の一連の流れ

私が勤務していたところは1コマ90分だったのですが、例えば2コマ担当した時の一連の流れはこのようになっていました。

  1. 授業開始20分前に到着
  2. 担当する生徒のファイルを探して、今日の授業の内容を確認
  3. 授業前に準備をする人もいますが、ちゃんとした授業をしたいのならやめましょう
  4. あらかじめ準備したもので問題なければ、授業内容をシミュレーションしながら問題を眺めて時間をつぶし、不足していれば教材に使うテキストのコピーを取る
    • 私の場合は自宅で準備していたのでほとんど不足することはありませんでした
  5. 授業時間になると集合して全体報告
  6. 授業を行います
  7. 授業が終了したら教員室に戻り、次の授業の確認をします
  8. 再び集合→授業を行う
  9. すべての授業が終了したので、本日担当した授業内容とその所感をそれぞれ100~150字程度で記述する
    • これは保護者に郵送するのでしっかり書かないとチェックが通りません。定型文でもダメです
  10. チェックが降りたら、次回の授業に使用する教材を選んでコピーを取っておき自宅に持ち帰ります
    基本的には同じテキストの続きを行うので、次回の範囲はこの時からほとんど想定しています。
  11. 次回授業までに持ち帰った教材を解いて、どのように指導するか考えておきます
    • 過去問のように同じ学校でも年度によって難易度のバラツキがあることがあるので、あらかじめ解いておかないと適切な指導にならないことが有ります

個別指導の良いところ

生徒の成長が自分次第で大きく変わる

やはり集団指導との大きな違いは、担当している生徒の成績が自分次第で大きく変わってくるのでやりがいが感じられることではないでしょうか。
授業準備をサボって、宿題も適当に出していたら、特に小中学生は自主的に学習することがあまりありませんから、当然成績は伸びないでしょう。逆に生徒のレベルや目標を一緒に作って、それに向かって適切な課題を出していけば成績が上がってくれる実感がありました。

ただどうしても生徒と先生の相性がある上に、一度担当が決まると変更は原則的に効かないので、相性が悪い生徒にあたってしまうと、努力が空回りしがちでなかなか苦労します。

肉体労働ではないので、疲労は少なめ

もちろん全く疲れない、ということではありませんが、私が以前にアルバイトしていた飲食店とのアルバイトに比べれば肉体的には随分楽でした。単純に動く量も少ないですし、体を激しく動かすこともありませんからね。

クーラーも暖房も完備

生徒たちに快適に勉強してもらうためにクーラーも暖房もしっかり効いているので、働く環境としては良いと思います。外での仕事は四季の影響をモロに受けますが、一年通して環境的な意味でのストレスはありません。

個別指導の良くないところ

実質的な時給はコンビニや飲食より低い

先程書いた「一連の流れ」を見てもらえればわかるように、授業の前後にやるべきことがかなり多いです。

例えば受験生の国語指導を行う場合、1コマで「漢字テスト→宿題チェック→過去問」という流れになっていましたが、過去問は自分であらかじめ解いて解説の仕方まで準備すると絶対に1時間では終わりません。大体1時間半くらいはかかってしまいます。
時給1500円で90分の指導だとしても、準備だけで時給750円相当になります。

そこから更に授業後に指導内容や所感を書いてチェックを受けたりしなければなりませんから、実質的な時給は700円を切ることがほとんどです。
ですから以前にやっていた飲食店よりも随分稼ぎが悪いなとずっと思いながら仕事していました。

希望した勤務地で働けないことがある

私の働いていた塾はチェーン展開しているところだったのですが、当初希望していた場所ではなく、少し遠い所に配属されたため、電車で15分ほどかかることになり、家からバイト先まで35分くらいかかってしまいました。

コンビニや飲食店なら大抵は家の近くであることがほとんどなので、往復の時間ロスが大きいのが不満でした。

1コマしか担当させてもらえない日がある

自分の所ではアルバイトの場合は1日多くて3コマ、基本的には2コマで、少ないときは1コマしかない日もありました。そして上に書いたようにバイト先まで往復70分もかかってしまうので、それも換算すると一体時給いくらなんだ…と思うこともしばしばありました。

立ちっぱなしなので足が辛い

肉体的な疲労は少ないと言いましたが、私が勤務していたところだと先生が座るスペースがなく立ちっぱなしでほとんど動くスペースもありませんから、授業が何コマも連続すると足が辛くなることがありました。
ただ総合的に見れば飲食店よりは随分楽でしたね。

勤務歴が浅いと優秀な生徒は担当させてもらえない

もちろん生徒の優劣に応じてやる気を露骨に変動させてしまうのはいけないことですが、基本的に1年目は塾の中でも実績が期待されている生徒は担当させてもらえません。

ですから自分が指導して難関校に導いてやる、と息巻いていてもなかなか現実的には難しいものがあります。1年目をしっかりやり抜いて評価されれば2年目以降は変わってくるかもしれません。

年度が終わるまでやめづらい

特に受験生の生徒は年度の途中でやめられてしまうと、生徒からしたらたまったものではありません。基本的に一度担当が決まったら、年度が終わるまでやめられないものだと思ったほうがいいでしょう。

講師同士のコミュニケーションが薄い

飲食店で働いていたときはバイト終わりに遊びに行ったりしていたものですが、塾ではほとんどありませんでした。唯一忘年会のようなものがありましたが、あまり参加率も高くないですし、お互いの名前すら知らないで人が入れ替わっていきます。
2年3年と続いていけばそれも変わってきますが、当初は一人でコソっときてそのまま帰ることが多かったです。

注意すべきポイント

応募する前に1コマの授業時間をチェックしよう

基本的には授業時間あたりの時給で書かれていることが多いですが、なかにはコマあたりの給与が書かれていることがあります。コマあたりの時間が塾によって異なることがあるので、時給に換算して適切かどうか確かめましょう。

保護者との対応があるかどうか

私が働いていたところは、保護者対応は全て正社員の講師が行っていましたが、中にはアルバイト講師が保護者対応をするところがあります。

もちろんお金を払って生徒に通わせているのですから保護者への対応も含めて仕事なのですが、大学生のアルバイトだと保護者に適切な対応を取るのが苦手な人も多いでしょう。
アルバイト講師かどうかはすぐに見分けられてしまうので、保護者から授業に対して厳しい目で見られることもあるようですし、なかなか精神的な負担になるかもしれません。

個別指導は稼ぎが悪い

実は意気揚々と始めたものの、やめようと思ったことは1度や2度ではないです。
一番辛かったのは稼ぎがとにかく少ないことで、初年度は夏休み以外月に5万を超えることはありませんでした。
特に1コマしかないときは自由時間1日潰して2200円くらいしか貰えませんから、帰路につくときには今日はなんだったんだろうとよく思ったものです。

基本的にはやりがい重視の仕事で、2年以上続けて生徒の成長を後押ししたいという純粋な気持ちでやれる方にはおすすめできますが、金銭的な面でやりたいと思う方は家庭教師にした方がいいでしょう

家庭教師は学歴によって時給が大きく変動しますが、早慶以上の学歴があって個人で契約できれば時給3000円以上もらえることが多いようです。ちなみに冒頭で話した友人は塾講師を早々にやめて、個人の家庭教師を始めていました。

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