2016年10月29日

膠着一切なしのハイスピードバトル!RISEの見所を徹底紹介

 格闘技ってどんなものかわからないし、何から見ていいのかわからないけれど、興味はある!という方はたくさんいると思います。男同士が真剣勝負の殴り合いをするわけですから、どうしたって興奮しますよね。

けれどボクシングのように12R見続けるのは億劫に感じたり、総合格闘技でも寝技の展開ばかりだと一般の人からするとなかなか良さが分かりづらかったりします。

そんな方には「RISE」というキックボクシングイベントがおすすめです。
RISEは3Rまたは5Rの試合で、消極的な組み付きは一切禁止されていて、お互いにバチバチの殴り合いをすることを推奨しているので、KOが多く生まれ、無名選手同士の試合でも思わぬエキサイティングな試合が見られることで評判の団体です。

キックボクシングにおけるRISEの立ち位置

そもそもキックボクシングという競技について聞いたことはあるけれど、実際の所どんなものか分からないというのが多くの方の意見かもしれません。知らない競技について関心を持つのは難しいですし、それにキックボクシングは様々な団体やルールが存在していて、調べてもなかなか理解しづらかったりします。

そもそもキックボクシングの特殊な事情として、ボクシングのように一つの組織が競技を統一的に管理しているのではなく、影響力の強いところから弱いところまで複数の組織が、独自に運営しているということがあります。
その中でも志向が大きく分けて2つに別れていて、それぞれ「ムエタイ志向で肘や組み付いてからの攻撃が許されているもの」と「K-1のように肘や組み付きが禁止されているもの」となっています。

なぜ、このようにキックボクシングは2つの流れに分岐してしまったのかを説明します。

打倒ムエタイ”と”立ち技最強"という2つのコンセプト

まず”打倒ムエタイ"というコンセプトですが、これはキックボクシングの源流にあたります。
キックボクシングは1960年代に生まれた、まだ若い競技なのですが、それは日本の空手家が”地上最強の格闘技"とも謳われていたムエタイを打倒するために生み出したことから始まっています。

ムエタイはパンチ・キックに加えて膝・肘も許された、実戦的な競技でタイの陸軍にも使われている格闘技です。そんな格闘技に対抗するには寸止めが主流だった空手から大きく舵を切る必要があり、キックボクシングのルールもムエタイに近い「肘・組み付いてからの攻撃」が許容されるものでした。

一方でK-1はもともとはキックボクシングではなく、空手やカンフー、拳法などといった様々な立ち技格闘技の最強を決める、という趣旨で行われたもので、”打倒ムエタイ”という趣旨は入っていませんでした。
またテレビ中継によるメディアミックス戦略を取ることで日本でブームを起こしましたが、その時に視聴者に分かりづらい組み付きや、流血が頻繁に起こる肘打ちを禁止されました。

そんなK-1がキックボクシングのようになっていったのは、やはり立ち技格闘技の舞台ではキックボクサーが強かったからです。アーネスト・ホーストやピーター・アーツといったオランダのキックボクサーが次々と活躍したことで、いつしかK-1は世界のキックボクシングにおける最もメジャーな団体となったのです。

K-1ルールの源流から生まれたRISE

少々回りくどい説明になってしまいましたが、RISEはそんなK-1のうねりから生まれた団体です。
これまでの主流だった「肘、組み付き有り」のルールではなく、K-1に近い「肘、組み付き禁止」のルールを採用して2003年設立されています。これはローカル団体としては異例で、現在の日本で肘なしルールが多く組まれているのはRISEが先駆けて採用したからという事情があるほどです。

しかしそれは単にK-1に迎合したものではありません。RISEは根っからのキックボクシングであり、旗揚げをした偉大なキックボクサーの経歴を見てもそれは明らかです。

RISEを現在プロデュースしている伊藤隆という方は創設に関わったうちの一人のメンバーなのですが、伊藤隆さんは現役時代、K-1よりもムエタイベースの選手でした。ミドルキック・ハイキック・肘打ち・首相撲といったムエタイ選手顔負けの多彩な技で数々のKO勝利を収めてきた名選手です。

そんな伊藤隆さんが運営しているというのが大きなポイントで、RISEは興行ではなく、キックボクシングという競技に新しい風を吹き込もうとして生まれたものなのです。

アマチュア大会も主催

RISEはプロ団体としては先駆けてアマチュアの大会を開催してきました。
キックボクシングはボクシングと違い、部活動でアマチュアの大会に出場できる環境が整備されておらず、街のジムに所属していても、アマチュアの選手が気軽に試合に出場できないという経緯がありました。

そこでRISEは設立から間もなくして「KAMINARIMON」というアマチュア大会を運営しています。KAMINARIMONは単体のアマチュア大会ではなく、全国大会の優勝者はそのままRISEのプロに出られるといったロードマップを切り開いているところも評価されています。

RISEの名勝負

そんなRISEですが、コンセプトは面白そうでも、実際にどんな試合が行われていたのかがわからないと、どうしても実像が見えてこないという方もいらっしゃると思います。
そこで、名勝負をいくつかピックアップしたので、この中からビビっとくるような試合を見つけていただければ幸いです。

DEAD OR ALIVE TOURNAMENT '05

DEAD OR ALIVEとは「生きるか死ぬかどちらでも構わない」という意味で、この大会は8人のトップファイターがK-1出場をかけて戦うワンデートーナメントです。優勝するには1日に3度勝たなければならない過酷なトーナメントです。

ここで優勝したのは当時無名の元ボクサー、TATSUJIという選手でした。TATUSJI選手はアマチュアボクシングのエリートながらキックボクシングに転向して2年しか経っていない新進気鋭の選手で、これまでのキックボクシングからは出てこなかった新しいタイプの選手でした。

TATSUJI選手はこの試合をキッカケに一気にスターダムを駆け上り、K-1の日本代表決定トーナメントでは2年連続準優勝に輝き、さらにK-1初代王者のアルバート・クラウスにも勝利するなど日本人屈指の豪腕ファイターとして鳴らしました。

この大会は設立して2年ほどの時期でしたが、TATUSJI選手のような気鋭の選手を生み出す団体として注目されるキッカケになりました。

日菜太 vs アルトゥール・キシェンコ

日菜太選手は現在REBELSという団体で戦っている選手で、日本人最強のキックボクサーの一人として数えられている選手です。
アルトゥール・キシェンコはかつてK-1の世界大会で準優勝にも輝いたこともある世界でも指折りの選手で、当時の下馬評では日菜太選手が厳しいだろうと見られていました。

しかし結果は日菜太選手が得意の左の蹴りを何度も叩き込み、最後は三日月蹴りという、いかにもな必殺技で完全KOしています。
この試合は欧州のキックボクシングにも大きなインパクトを残し、日菜太の名前を一躍世界に轟かせることになりました。

那須川天心 vs 村越優汰 (1度目の対戦)

 

那須川選手はこの後にも詳しく説明していますが、日本のキックボクシング界の至宝と呼ばれている選手です。そんな那須川の主戦場がこのRISEなのです。

幼少期からキックボクシングに取り組み、卓越したスピードとテクニックで「天才」と呼ばれてきた那須川選手ですが、デビュー戦の舞台に選んだのはこのRISEでした。
当時高校1年生ながら圧倒的な強さで勝利し、その後も5戦して5勝4KOと無傷でタイトルマッチまで駆け上がります。

相手は9連勝中と波に乗っていたバンタム級王者の村越優汰選手で、那須川選手の勢いもどこまで通用するか試される一戦でした。
しかし蓋を空けてみれば、まさに那須川劇場で1R終盤にダウンを奪うと、2Rに3度のダウンを奪いKO勝利。史上最年少となる16歳での王座戴冠となり、キックボクシング界にニューヒーローが誕生した瞬間でした。

注目選手を紹介

このようにRISEは設立以来、多くの名勝負を生み出してきました。
もちろんその他の試合でも、アグレッシブファイトが推奨されるリングゆえに思わぬKOが生まれたりと、常にハズレ無しの興行が楽しめます。

でもまだ取っ付きづらい、と思われる方のために、三名のおすすめ選手をピックアップして紹介します。誰か一人でも気になる選手が見つかれば、その選手のTwitterをフォローしてウォッチするのもいいと思いますよ。

那須川天心

先程の名勝負にもあげた選手ですね。
キックボクシングに留まらず、日本の格闘技史上最高の逸材と呼ばれている選手で、現在高校3年生の18歳です。

サウスポースタイルから繰り出す左右のパンチ、そして切れ味鋭い左の蹴りはすでに世界レベルです。
RISEにしては珍しく距離を取って戦うことが多く見られますが、膠着は一切せず、一度スイッチが入ると目にも留まらぬ回転の攻撃を繰り出し、対戦相手は防戦を強いられてしまいます。

最も軽い55kg級で、那須川選手もそれほど筋骨隆々といった感じではないのですが、キレキレの攻撃は急所に入れば相手を一撃で沈める威力を持っています。
今年8月の大会でも中国の強豪選手を相手に左の蹴り一発でダウンを奪い、1RでKOしています。

那須川の足跡はそのままキックボクシングの歴史につながるのではないか、と思えるほど最注目の選手です。

花田元誓

キックボクサーとしては珍しく九州の福岡を拠点にしている選手です。
現在RISEのフェザー級(57.5kg)王者です。

この選手もサウスポースタイルですが、那須川選手と違って、花田選手の持ち味はとにかく下がらないこと。強豪外国人選手が相手でも一歩も下がらず、常に真っ向勝負を挑みます。

得意技は左右のパンチと左のヒザ蹴りです。RISEは組み付いてからのヒザ蹴りが禁止されていますが、花田選手は組まずに繰り出すヒザ蹴りを得意としており、ボディーだけでなく顔面にまで届いてきます。

RISEの原点であるアグレッシブファイトを象徴するファイトスタイルで、年齢も30歳と今まさにピークに達している旬の選手です。

野辺広大

そんな花田選手に今年の1月大会で勝利し、スーパーフェザー級の新王者になったのがこの野辺広大選手です。
現在21歳で現役大学生でもある野辺選手はRISE次世代のホープと呼ばれてきました。

連打が難しい蹴り技を、まるでパンチを繰り出すかのごとく次々と連打する、キック主体の選手です。

他団体の王者である前口太尊選手や山口侑馬選手にも勝利しており、この階級では日本トップクラスと呼ばれています。
メジャー舞台への意欲も高く、地上波放送されているRIZINへの出場を熱望しており、今後もしかしたら野辺選手の試合がテレビ中継されるかもしれません。

次回大会は11月25日

RISEは2ヶ月に1度くらいの頻度で開催されており、次回大会は2016年11月25日の「RISE114」です。会場は格闘技の殿堂と呼ばれる後楽園ホールです。

この大会には先程紹介した野辺選手と花田選手が出場します。

野辺選手は欧州の強豪選手であるシリル・パジット選手と対戦。
花田選手はメインイベントで森本 “狂犬” 義久選手とタイトルマッチを行います。

その他にもシュートボクシング日本王者の深田一樹選手や、総合格闘家の高瀬大樹選手など、注目選手がずらり集結しているので、興味のある方は是非イベントページをチェックしてみてください。

人気のスポーツ選手ランキング【日本の男女アスリート】
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