2016年10月14日

【実況パワフルプロ野球】なぜパワプロのアプリは大ヒットしたのか

90年代から定番野球ゲームとして長く親しまれてきた「実況パワフルプロ野球」シリーズ。
最近は本家のテレビゲーム版の売上が低迷し、シリーズも危ういのではないかと思われていましたが、アプリは2400ダウンロードを超える大ヒットとなりました。

そんなパワプロアプリの人気の要因を探っていきます。

実況パワフルプロ野球とは90年代から定番の野球ゲームで、三頭身のコミカルなキャラクターとリアルなアクション、そして何より自分好みの選手が作れるサクセスシリーズが人気です。
実際にプロ野球選手でもファンの人がいるほど馴染み深いゲームですが、普段野球を全く見ないようなライトゲーマーまで取り込んだ大人気野球ゲームです。

(ちなみに現在西武のエースで活躍している菊池雄星選手なんかは、パワプロをプレイしていて、どんな選手が打たれやすいかを研究して、その結果チェンジアップを覚えるべきと考え、実際にチェンジアップを覚えてからはメキメキ成績を伸ばしていたりします。それくらい本格的な一面もあるんですよ。)

もともとスーパーファミコン、ニンテンドー64、プレイステーションなど様々な据置のゲーム機向けに発売していたのですが、近年は売上が振るわず、毎年発売するのが恒例だったにも関わらず、だんだんと発売されない年が出てくるなど雲行きが怪しくなっていたりしました。

そんな時にスマートフォン向けに出た実況パワフルプロ野球のアプリが大ヒットし、一時はあのモンスターストライクやパズルアンドドラゴンズといった国民的ゲームを抜いてApp Storeのランキングで一位になったこともあるほどの盛況ぶりでした。累計ダウンロード数はなんと2400万ダウンロードを誇ります。

実はテレビゲームからスマホゲームに展開する流れは多く、あのモンスタハンターなども挑戦していますが、全くヒットしておらず、テレビゲームとスマホゲームは全く別に市場だ、という風にも言われています。
それなのになぜパワプロはこれだけヒットしたのでしょうか。私なりに考えていました。

パワプロ2013の頃からスマホゲームを意識していた

パワプロアプリは2014年12月23日にリリースされていますが、前年にPS3向けに発売された「実況パワフルプロ野球2013」の頃には既にスマホアプリ的な要素をテレビゲームに組み込んでいたんですね。

いわゆる「お金で時間を買える」というスマホゲーム的な要素をかなり大胆にテレビゲーム向けに取り入れたもので、当時はかなり批判されたりもしましたが。
具体的にはスマホゲームではおなじみの「デッキシステム」をサクセスに取り込んでいて、デッキの構成に応じてサクセスのイベントが変化し、作成できるキャラクターの能力に影響を与えるというものです。

これまでのパワプロシリーズではあるシナリオを選んだら発生するイベントは決まっており、決まりきった中からランダムで発生するというものでしたが、デッキを使うことによって発生しうるイベントを自分でコントロールできるようになったのです。
しかもデッキに使用できるカードは消耗品で、テレビゲームにも関わらずガチャシステムを取り入れていて、ゲームを遊ぶと手に入るコインを使ってガチャを回し、レアなカードを手に入れられるといい感じのデッキが組めるというシステムです。

さらにPS3に登録してあるクレジットカード決済で、サクセス中のアイテムをお金で買うことが出来て、例えばダイジョーブ博士の手術という成功すれば凄い選手になるが、失敗すればたちまちクソ選手になるという博打要素的なイベントがランダムで発生するのですが、なんとこれを「お金で失敗をなかったことにできる」という余りにも露骨な課金要素を取り入れています。
スマホゲームならまだしもテレビゲームでそれをやるのだから大胆ですよね。

このようにパワプロ2013の頃から、スマホゲーム的な要素を取り入れていて、アプリをリリースする前からそれがユーザーに受けるかどうかチェックしていたのだと思います。
しかも批判は多かったのですが、これまでのパワプロシリーズにない要素が受け入れられて、売上も前作より大きく伸ばしていたのも事実です。

アプリではさらにライトユーザー向けにアレンジ

スマホゲームはテレビゲームと違って、必ずしもじっくり腰を据えて遊ばれるわけではなく、時には電車の中で人混みに押されながらプレイすることもあります。
また人との待ち合わせまでのつなぎ時間など、ほんの数分の細切れの時間でも遊べるような仕掛けが必要です。

パワプロアプリもアプリ化するにあたって、このようなライトな遊び方にも対応しています。

例えば試合操作はテレビゲームと違ってかなり簡略化されており、打撃ではミートカーソルをタイミングよく合わるだけで、守備や走塁は自動で行われます。サクセスの試合操作でもシンプルな打撃操作さえ上手くこなせれば問題がないように作られているんですね。

サクセスのシナリオもアプリ向けに全て新しいシナリオになっており、1週遊ぶのにも30分~50分程度とかなりサクッと遊べるようになっています。1時間以内に終わるので、空き時間や家に帰って少しだけやれば大体1日1周くらいできるようになっています。

またゲームモードも基本的にサクセスに特化していているのも特徴です。テレビゲームではマイライフやペナントなどいくつかメインのモードがあるのですが、アプリではほとんどサクセスに機能が集約されています。
その代わりアプリ版では頻繁にコラボやイベントが行われるなど、定期的に遊びたくなる仕掛けが施されています。

サクセスのモチベーション

これまでのテレビゲームでのサクセスのモチベーションって実は凄くスマホゲームでのモチベーションに近いものがあったと思うんです。

というのもサクセスで作った選手は対戦やペナントなどの他のモードにも応用できるのですが、実際のところ「いい選手を作る事自体が目的化」していて、例えば全ての能力値がAのオールA選手を作るまで育成を最適化しよう、とかそういったモチベーションで何周もプレイしていた方が多いと思います。
必ずしもオンラインで他のプレイヤーを倒してやろう、みたいなモチベーションではなく、自分の中で目標を見つけて、それを達成したりできなかったりする体験自体が面白かったのだと思います。

さらにサクセスをプレイしている最中は毎週のように何らかのイベントが発生し、時折ランダムで良いイベントが発生したり、絶対に回避できないバッドイベントが発生したりと、プレイヤーがコントロールできない状況が目まぐるしく展開されます。

そこにパワプロ2013で搭載されたようなデッキシステムやダイジョーブの成功手形のような要素が加わることで、プレイヤーが本来コントロールできない要素を、やりこんだり課金することでいくつかコントロールできるようにすることで、長く遊んで課金廃人のような人を生み出すことにも成功しています。

ライトユーザーにとっては単にサクセスをサクッと遊んでも楽しいし、ヘビーユーザーにとってはガチャのスーパーレアを集めてとにかく強い選手を作ることに躍起になれるという風に、両極端なユーザーの満足度を両立しているところも上手く出来ているなと関心します。

パワプロのノウハウを活かしてサッカーゲームも?

パワプロアプリは2400万ダウンロードを突破するなど商業的にも大成功を収めました。
このノウハウを活かして、パワプロのサッカー版である「実況パワフルサッカー」がリリースされることが決定し、現在はクローズドベータテストが行われています。

もともとパワプロ以上にテレビゲームで人気だったのはウイニングイレブンですが、こちらもスマホゲーム展開しているものの、あまり上手く行っていないようで、サッカーゲームの方もパワプロの方向性で攻めていこうということなのだと思います。

20代中盤以降の方でないとわからないと思いますが、90年台にKONAMIが出していたパーフェクトストライカーというゲームにもサクセスモードがついていて、それを思い出させるようなタイトルでノスタルジックな感じもします。

自分は野球も大好きですが、それ以上にパワプロのサクセスが好きなので、パワサカをプレイするのが今から楽しみでもあります。

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