2016年10月26日

私の心のバイブル!涙あり笑いありの「サムライカアサン」

私が今まで読んできた漫画や小説の中で読んでいて一番涙した作品を一つあげるなら、それは「サムライカアサン」です。

全8冊からなるこの漫画に初めてであったのは、長女を出産したばかりのときでした。友人が出産祝いで我が家へ遊びに来た時に「暇なときにでも読んでね。」と、自分の読んだ漫画を持ってきてくれたのです。友人にもらった直後はすぐに読むこともなく本棚にしまっていたのですが、夜中ふと目が覚めて寝れないときに読んでみることにしました。読み出すと、そのサムライカアサンワールドにあっという間に引きずり込まれ、夢中で読みふけりました。

サムライカアサンについて


 
この漫画のストーリーは、主人公のオカンとそのオカンが溺愛する一人息子のタケシとお父さんの三人家族のおりなす優しくあたたかいストーリーです。

第一巻では、息子タケシは高校生なのですが、卒業し、漫才師を目指すのです。その過程の中でオカンとムスコがいろいろな人に出会ったり経験したりして物語りは展開していきます。漫才師を目指すという点は平凡ではないかもしれませんが、その内容は、どの家庭でも感じたり経験したりするようなごく身近でおこりえるような内容です。派手なアクションシーンやファンタジーや、熱烈な恋愛ストーリーなどはそこにはありません。
この漫画の一番の魅力は、主人公であるオカンと息子タケシ、お父さんのキャラクターの良さだと感じます。

オカン

オカンはとにかくパワフルで明るくって可愛らしいのです。そして、高校生の息子タケシを溺愛しています。タケシがアルバイトを始めたら、変装までしてそのアルバイト先を見に行ったりします。実際に自分の母親が、わざわざアルバイト先まで押しかけてきたら、うっとうしいを通り越して大ゲンカが勃発するかとも思いますが、そこはオカンの可愛いキャラクターで許されてしまいます。

一見、子離れできていない毒親なのではないかとも思えますが、そこは違うのです。タケシのやいたいことには文句も言わずにあたたかく見守っているのです。なぜこれほどまでに愛情豊かなパワフル母さんになったのかというと、それはカアサンの生い立ちにあるのです。

お酒ばかり飲む貧乏な家で愛情を感じることなく育ったオカン。社会人になっても、その給料は家族に渡して質素な暮らしをしていました。地味な服、地味な性格のオカン。でもそんな地味なオカンの良さをわかってくれるお父さんと出会うのです。
オカンは自分が愛情を受けられずに寂しい思いをしたような気持ちを、タケシには味わってほしくなかったのです。そして、うざがられても罵られても、笑い飛ばしてストーカーと化すパワフルオカンが誕生するのです。

タケシ

第1巻では高校生だったタケシは少しずつ成長していきます。

アルバイトをはじめたり、彼女ができたり、進路に悩んだり、誰もが大人になるために通過する道です。タケシの成長を見ていると、同じ子供を持つ母親なら自分の子供と重ね合わせてしまいます。

タケシは、ぶっきらぼうで普段はオカンをうっとうしがって口もあまり聞きません。反抗期のごく普通の息子です。自分が高校生のときも、親があれこれ聞いてくるのがうるさく感じたものです。
説教なんかされるもんなら、怒って部屋に閉じこもってしまったりしていました。でも文句を言われても反抗されてもめげることなんて全くないオカン。ぶっきらぼうなタケシにも十分、オカンの愛情が伝わっているのがわかります。

タケシは、彼女のこずえちゃんに優しいのですが、その優しはは、オカンとお父さんの間で育まれたものだと感じます。

お父さん

オカン、タケシと比べても登場回数も口数も圧倒的に少ないお父さん。おとなしくて控えめですが、オカンのことを誰よりも愛しています。オカンとお父さんがラブラブで、こんないつまでも仲の良い夫婦っていいなぁと思わされます。
おしゃべりのパワフルなオカンとは対照的な存在です。普段はあまりしゃべりませんが、ここぞというときには活躍してくれます。地味で目立たなかった若かりしオカンに恋をした見る目のある素敵なお父さんです。

オカンの作る料理

そんな素敵な三人家族のどこにでもありそうな物語り。一話完結の漫画なんですが、毎回といっていいほど登場するのがオカンの作る料理です。

タケシに初めて彼女ができたと知ったときの夕食はカツ丼でした。なぜカツ丼なのか。それは彼女についての取り調べを行うためなのです。突然、刑事の衣装になったオカンはカツ丼を差し出してタケシを尋問するのです。そのカツ丼の美味しそうなこと。

タケシの彼女の弟はまだ小学生なのですが、その弟が来た時にはオカンと弟が二人でたこ焼きを作るシーンがありました。二人でしゃべったり笑ったり相談を受けたりしながらクルクルとたこ焼きを回しているのです。できたあつあつのたこ焼きの美味しそうなこと。その他にも、ほかほかご飯のおにぎりやら美味しそうな料理がいろいろとでてきます。あたたかいできたてのご飯は心までほっこりとなります。

オカンの名ゼリフ

料理とともに毎回出てくるのが、オカンの名ゼリフです。

例えば、近所に住む一人暮らしの酔っ払いの松ちゃん。ご近所さんは松ちゃんをあまり良くは思ってなくて知らんぷりをしているのですが、オカンは声を掛けます。
そして、松ちゃんに言ったセリフ、

オカン「愚痴は不幸は呼んでも幸せは呼ばへんのよ。もう一回やりなおしぃ。なにゆーてんの
これからの松ちゃんの人生で今が一番若いやないの。」

うんうん。そうだなとうなずくこと間違いなし。自分の人生の不幸の文句を言ってすねていても仕方がない。愚痴を言う前に何度でもやり直すことができるんだ。当たり前といえば当たり前のことだけど、考えさせられます。

もう一つ、考えさせられる名ゼリフ。タケシの彼女のこずえちゃんと話しをしていて。 

こずえちゃん「一生懸命やってても辛い事がいっぱいあるのってなんなんかな・・・」
オカン「私はねそういう人は不幸なんではなくて人生が豊かなんだと思うから。収穫の多い人生なのですわ。」

頑張っても頑張ってもうまくいかずに自分だけが辛いと感じるときに心に響きますよね。こんなセリフを言えるような人に私もなりたいものです。

これでも、まだサムライカアサンの魅力は上手く伝えられてないのではないでしょうか。一話完結の漫画なのですが、その一話の中で笑ったり泣いたりすることができるのです。

笑いの部分は、読んでもらわないとわからないかもしれませんが、オカンがとにかく面白いんです。大阪のオバチャン丸出しって感じで、ダジャレなんかも言ったり、ドジで失敗ばかりしたり。そして笑えたかと思うと、泣きの場面に入ります。オカンのタケシを想う愛情や、オカンの幼少期の寂しさや、その他、様々な内容で感動させられます。どの感動の場面も、ベースにはオカンの愛情があるのです。

感想

私がこの本を初めて読んだときは、長女を出産後まもなくでして。子供を想う母の気持ちが少しわかるようになってから呼んだので、オカンの立場で読み感動しました。若い子がこの漫画を読んだら、きっと子供の立場として感動するでしょう。

実際、うちの子が小学生になったときには「サムライカアサン」を読んで面白いと言っていました。母の愛情がどんなに大きいものかがこの漫画を通して伝わってくれたらいいのになぁと思いました。

子供の立場として読んでも、親の立場として読んでも、間違いなく面白くて感動する漫画であると思います。初めてこの漫画で出会ってから16年ほどになります。その間に何度も、サムライカアサンの漫画を読みなおすことがありました。何度読んでもその内容は色あせることなく、毎度、泣かされてしまいます。

オカンの髪の毛はクルクルパーマで、いつも白の割烹着を着ています。昔のタイプのお母さん。なんだか自分の母親にも重ね合わせてしまいます。

私の母は、サムライカアサンみたいに面白くて物分りの良いオカンではありませんでした。厳しくて、勉強勉強と口うるさく、恋愛にもいい顔をしない母でした。思春期の私は息が詰まりそうな日々を過ごしましたが、嫌な一面もありましたが、根本に愛情があることは感じていました。
毎日作ってくれるあたたかいご飯。揚げ物などは、私が遅く帰ってくるときには帰ってくるのを待って作ってくれました。「出来立ての方が美味しいから。」ただそれだけの理由で。普段、言葉では愛情を表すことはない家庭でしてが、そんなちょっとしたことで愛情は十分に伝わっていました。サムライカアサンのオカンみたいに、「たけし、大好き!」とストーカーのようにくっついたりするマネは到底できませんが、私の母やオカンのように、美味しい食事で子供をむかえてあげられるような母に私もなりたいと思います。

いろいろと長々と書きましたが、「サムライカアサン」の魅力を少しでも伝えることができたでしょうか。とにかく8冊全部とはいわないので、まず1冊は読んでみてほしいです。
1冊読めば、この面白さはきっとわかってもらえるはずです。そして気が付けば、全巻そろえていることでしょう。

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