12月に旗揚げされるKNOCK OUTはガチすぎるキックボクシングイベント!
カードゲームで有名なブシロードが提供する新しいキックボクシングイベントが12月5日に旗揚げされます。そのイベントは「KNOCK OUT」と言います。
時代と逆行するかのような肘あり、首相撲有りのルールで本当に強いキックボクサーを決める、あまりにもガチな大会です。そんなKNOCK OUTの魅力を紹介しています。
キックボクシングと言うと皆さんどんなイメージがあるでしょうか?
どんな競技なのか分からなかったり、もしかしたら2000年代に流行したK-1のイメージを持つかもしれません。
今回紹介するKNOCK OUT(ノックアウト)というイベントは、トレーディングカードゲームで有名なブシロードが提供する全く新しい、そしてガチすぎるキックボクシングイベントで注目を浴びているんです。
あまりにもマニアックすぎて大丈夫かな、と思うほど「強さ」を追求した団体で、格闘技に興味がある人にはぜひ注目してほしいイベントなので紹介したいと思います。
キックボクシングとは
そもそもキックボクシングという競技についてあまり知らない方が多いかもしれません。日本で最も知られているイメージではK-1と近いものがあります。
キックボクシングはもともとタイの国技であるムエタイを打倒するものとして生まれたものです。ムエタイとは地上最強の格闘技とも呼ばれる歴史ある格闘技種目で、パンチ・キックに加えて肘や首相撲と呼ばれる組み付きからの攻撃が許されている競技です。
日本の空手では当時寸止めルールが採用されており、様々な打撃技が許されているムエタイを打倒するために日本独自の格闘技を創設し、それを「キックボクシング」と名付けています。
そのためキックボクシングもムエタイと同じくパンチ・キック・肘・首相撲が許されているのが源流です。もしかしたらボクシングに蹴り技が加わったもの、あるいはキックしか許されていない、というように思われているかもしれませんが、むしろムエタイに近い競技であり、肘打ちがあることはあまり知られていないのかもしれません。
少し紛らわしい点として、キックボクシングには様々な派生ルールがあり、その中で最も有名なのがK-1です。K-1は90年代~00年代にかけて世界的に人気を得た格闘技イベントで、日本では地上波のゴールデン放送もされたことで多くの人の記憶に残っているかと思います。
K-1はテレビ中継で普段格闘技を見ないような人々にも注目を集めるべく、首相撲を制限もしくは禁止したり、流血を防ぐために肘打ちを認めていませんでした。むしろ今日ではK-1ルールにならって首相撲や肘打ちが制限される方が主流になりつつあるほどです。
一方で本来の「キックボクシング」という形からすると肘打ちや首相撲のような多様な技を認めるものこそ真のキックボクシングだ、とする動きも長らく存在していました。
しかしそのようなルールを採用する団体は、キックボクシングファン以外からの新規のファンを集められず、興行的に苦戦を強いられてきたという経緯があります。ですから一般的には肘打ちが許されているということがあまり知られていないのかもしれませんね。
KNOCK OUTについて
KNOCK OUTはそんなキックボクシング界にあって、対ムエタイの原点を意識したルールを採用しており、肘打ちや首相撲を取り入れています。
もしかしたら時代に逆行しているのでは、と見られかねませんが、KNOCK OUTは旧来のマニア向けにではなく、新しいファンを獲得してメジャー格闘技団体になることも想定しているようです。
KNOCK OUTの特徴的な点として、ブシロードが運営しているということがあります。
ブシロードといえばカードゲームのCMで馴染み深く、連結業績で年商200億円を超す大きな企業です。格闘技のイメージはあまりないかもしれませんが、新日本プロレスを買収するなど、格闘技イベントの運営実績のある会社でもあります。
そんなブシロードが運営しているためか、旧来の格闘技の慣習にとらわれずに新しいコンセプトを次々と打ち立てています。
全ての試合がメイン級で6,7試合構成
従来の格闘技団体は1つの興行のなかに、タイトルマッチもあれば、新人同士の試合も入っていたりと、玉石混交な10試合以上で構成されていることが多くなっています。
しかしKNOCK OUTは「人間の集中力の限界」として1つの興行を6,7試合とかなり少なめに設定しています。
その反面、全ての選手が王者クラスで、トップレベルの選手は率先して海外の選手と試合を組むなど、クオリティの高い試合だけで構成されています。
一般の人にとっては長く退屈になってしまいがちな格闘技興行にあって、誰でも気軽に楽しめるということを意識しているように見受けられます。
選手にチケットを手売りさせない
格闘技では一つの慣習として選手が知り合いにチケットを手売りで捌くという文化があります。実券よりも手売りのほうが多いということもあるほど、手売りに依存しているのですが、これは音楽業界にも見られるように、一般的に認知されていない人による興行では仕方ないとされてきました。
反面、チケットの手売りに依存してしまうと、選手の実力よりも営業力が評価されてしまったり、営業が忙しく練習が手に付かないといったことも指摘されています。またチケットを手売りできない外国人選手が参戦できなくなり、国際的に競争力のある団体になれないという弊害もあります。
KNOCK OUTは原則的にこのチケットの手売りをさせないことを謳っており、プロの選手は自分のパフォーマンスだけで生活できるようにしたいとのことです。
経営を短期的に見ればマイナスとなりうる方針ですが、「強い選手を優遇する」というスタンスの現れのように感じられます。
二人の日本人エース
KNOCK OUTは強いキックボクサーを押し出すコンセプトですが、現在は二人の日本人エースを顔として売り出しています。
この二人の選手はまだまだ世間的な知名度はないのですが、野球やサッカーのようなメジャースポーツのスター選手に匹敵するような高い実力を持っているので、是非紹介したいと思います。
梅野源治
対ムエタイのエースで、日本人キックボクサーの至宝とも呼ばれる選手です。
いかにも格闘家!という出で立ちが非常にカッコいいですね。
戦績は46戦36勝7敗3分となっています。それが凄いのか凄くないのかピンとこない人もいるかもしれませんが、1年に3試合か4試合ほどしか行わないことが多い中でもハイペースに試合をこなしているのがわかります。
そして近年戦ってきた選手の全てが世界レベルの選手というのが驚異的です。
体重は60kg弱ですが、身長が180センチあり、しかも体は筋骨隆々です。
長い手足を活かした攻撃は歴戦のムエタイファイターにとって驚異で、日本人で最もムエタイ世界王者に近い選手と呼ばれていました。肘や首相撲でもタイ人ファイターに全く引けを取らない超本格派の選手です。
ライト級という階級はアジア人にとって最も層の厚い階級で、ムエタイのメジャー団体で日本人が世界王者になるのは不可能では、とも言われていましたが、梅野選手はつい先日の10月24日に見事王者を破って世界王者に輝いています。
これは全階級を通じて、タイ人以外では世界で6人しか手にしていないとんでもない偉業なのです。
まだ一般的には知られていない梅野選手ですが、KNOCK OUTを通じて広く世間に知られることになるでしょう。むしろそうでなければ余りにも不遇すぎるとすら思わされます。
那須川天心
日本のキックボクシング、いや格闘技史上において最も才能があると呼ばれている選手です。まだ高校3年生の18歳ですが、16戦16勝12KOとパーフェクトな戦績を誇っています。
那須川選手の最大の特徴は圧倒的な身体能力と、大人顔負けの多彩なテクニックです。
まずはこのフィジカルトレーニングの動画を見てください。格闘技という枠を超えて、アスリートとしてトップレベルの身体能力を持っているのが分かると思います。
もちろんキックボクシングのスキルもそれに匹敵するものがあります。パンチ・キックのキレは既に世界レベルで、肘や首相撲にどこまで対応できるかが見ものです。
既に海外勢との試合も5戦こなしており全勝、日本人ともトップレベルの選手と試合を重ねていますがこちらも全勝となっています。この階級日本人最強との呼び声も高い、紛れもない天才です。
全員がチャンピオンクラス!
梅野源治、那須川天心の二大エースだけでなく、KNOCK OUTに出場する選手は全員がチャンピオンクラスです。
これは誇張ではなく、KNOCK OUTは次代のスターとなるような選手のみが上がれるメジャーリングだということです。
長島☆自演乙☆雄一郎
K-1で名を馳せた「コスプレファイター」こと長島☆自演乙☆雄一郎です。
おそらく出場選手の中では最も知名度が高い選手でしょう。
日本拳法で培った独特なテンポから繰り出す左右のパンチでK-1日本トーナメントで優勝しています。
今回はK-1とは全く違う肘・首相撲ありの3分5R制なだけにどのような試合になるかが見ものです。
T-98 (タクヤ)
この筋骨隆々の只者ではなさそうな選手は、T-98選手といって、梅野選手と並んでタイのメジャー団体であるラジャダムナンスタジアムの現役世界王者です。
特徴は見たまんまの強靭なフィジカルで、百戦錬磨のムエタイ選手を粉砕してきました。
先日もタイ人以外では初めてとなるタイ現地での王者防衛に成功しており、2大エースに負けず劣らずの活躍が期待されています。
このT-98選手と自演乙選手は対戦が決まっており、K-1王者vsムエタイ王者という見所満載の試合になっています。
有力選手がズラリ
この調子で有力選手を紹介していったらキリがなくなってしまうので、あとは簡単に紹介させていただきます。(それだけ選手が充実しているということです!)
大月晴明
「爆腕」としてキックボクシング界で名を馳せたレジェンド選手です。
なんと年齢は42歳になりますが、それでも独特のスタイルと豪腕は健在です。
宮元啓介
空手をバックボーンにしている選手で、普通のキックボクサーとは異なる蹴り技に、下段突きが特徴的です。
先日も強豪外国人であるゲーオサムリットを三日月蹴りでKOしており、軽量級では那須川天心と並んでトップレベルの選手です。
ワンチャローン・PKセンチャイジム
なんと那須川の対戦相手に選ばれたこの選手は、ルンピニースタジアムの現役世界王者です。
18歳でまだ肘ありルールのない那須川に当てられた相手はこの上ない強敵になりました。
この人こそがKNOCK OUTがガチであることを象徴する選手でもあります。
12月5日に第一回大会開催!
そんな全く新しい、ガチすぎるKNOCK OUTは2016年の12月5日(月)に旗揚げされます。
まだ全ての対戦カードは発表されていませんが、梅野源治・那須川天心の2大エースの参戦が決定しており、メインカードを張ることも決まっています。
東京ドームシティホールにて18:00から開催される初回興行で、キックボクシングの新しい歴史を目の当たりにしましょう!