2016年11月11日

日本は2017年のWBCに優勝できるのか?WBCの組み合わせやその歴史について徹底解説!【侍ジャパン】

4年に一度開催される野球の世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシックことWBC。日本は第一回、第二回と連覇していますが、第三回大会ではプエルトリコに敗れてベスト4に終わっています。
2017年に控えた第四回大会で侍ジャパンは果たして優勝できるのでしょうか?

WBCとは?

サッカーの世界一を決める対抗戦といえばワールドカップですが、野球でそれにあたるのがWBCです。
日本は長らく国技として野球が扱われてきたこともあり、世界の中でも高いレベルを誇っており、第一回と第二回で連覇を果たしています。

プロリーグの頂点はメジャーリーグ(MLB)で、MLBの頂点を決める戦いはワールドシリーズと呼ばれ、世界一のチームを決めるものです。
メジャーリーグはアメリカとカナダで行われているものですが、選手はプエルトリコ、ドミニカ、メキシコといった中南米を始め、日本や韓国のようなアジア圏からも選手を輩出しており、長らく世界の頂点を決めるのはワールドシリーズとして認識されてきました。

サッカーで言えばチャンピオンズリーグがそれに当たりますが、ワールドカップのような国別の対抗戦が行われておらず、そんな中で開催されたのがWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)です。

WBCの始まり

MLBはマーケット拡大のために1990年代から国際進出を進めており、2000年には3月29日と30日にかけて「シカゴ・カブスvsニューヨーク・メッツ」の開幕戦が東京ドームで行われるなど、世界各地で開幕戦を行うという試みを行っていました。

(2012年には当時イチローが所属していたシアトル・マリナーズの開幕戦が東京ドームで行われました)

そんな流れの中でMLBがさらなる市場拡大のために「野球の世界一決定戦を行おう」として考案したのが、このWBCなのです。

今でこそ日本がその先導を切って参加していますが、実は当初日本は不参加の意向を示していました。
というのもMLB側の一方的な言い分や利益分配に難色を示したためです。しかし、MLB機構はそんな日本に対して不参加の場合は国際野球の孤立を招く、経済的補填をしてもらうという一方的な通達を突きつけてきたことから、参加に至ってという実は後ろめたい事情がありました。

ちなみに第三回大会でも、MLBに対する一方的な利益分配から選手会が不参加を全会一致で決めましたが、最終的にNPBの意向によって参加が決まるなど、中立的なコミッションが存在しないために何かとゴタゴタが起こりがちです。

当初は開催時期は不定期だったのですが、第2回大会以降はオリンピックやワールドカップと同じ4年に一度と決められています。
年度にすると2013年、2017年、2021年という間隔で開催することになります。

収益分配はやはりMLB寄り

もともとの始まりを見ての通り、WBCはMLBが利益拡大を果たすという目的で作られているため、収益分配がMLBに有利すぎるという批判は絶えません。

第一回と第二回大会では、その内訳は発表されており、例えば第一回大会の時は以下のようになっていました。

まずは総収益が発生したうちの、47%を賞金に、53%と各国に分配します。
優勝国が総取りではなく全体の10%、準優勝国は7%、ベスト4で5%、2次リーグ敗退で3%、1次リーグ敗退で1%という形です。

各国の分配金としては、MLBが17.5%、大リーグ選手会が17.5%、日本プロ野球機構(NPB)が7%、韓国野球委員会および国際野球連盟に5%と言った具合です。

第二回大会でも是正はされず、MLBと大リーグ選手会の合計が66%、NPBには13%という打ち分けでした。
これによって第一回と第三回で不参加表明に至ったとされています。

日本のWBC連覇

そんなWBCですが、第一回大会と第二回大会で連覇したことは今もまだ記憶に新しいところです。
それぞれどんな大会だったかを振り返っていきましょう。

2006年 第一回大会

日本代表は当時ソフトバンクの監督だった王監督のもと、メジャーリーガーを揃えた最強布陣で挑むとされていました。
イチローと松井が初めて揃い踏みするのではないかと言われていましたが、松井は態度を保留にしたまま最終的に辞退することになります。

それでもイチロー、城島をはじめたとしたメジャーリーガーに加えて、青木宣親、松中信彦、岩村明憲、小笠原道大といった重量打線は錚々たる顔ぶれでした。

しかしその道程は決して平坦ではなく、1次ラウンドでは韓国に敗れてながらの突破、そして2次ラウンドの初戦ではまさかの誤審によってアメリカに敗れ、3戦目の韓国に敗れたことでほぼ敗退が濃厚となってしまいます。

アメリカは初回大会ということで本気モードで挑んでおり、デレク・ジーターやアレックス・ロドリゲスを含むまさに最強メンバーです。日本が2敗したことで当然アメリカが韓国に続いて進出するかと思われていましたが、なんとアメリカは韓国とメキシコに敗れたことで、日本・アメリカ・メキシコが1勝2敗で並び、失点率の少ない日本が準決勝に進出します。

準決勝では2度敗れている韓国に勝利すると、決勝ではキューバを破り劇的な優勝を果たします。
敗退濃厚からの奇跡の優勝は日本中に大きな感動を与えました。

2009年 第二回大会

第二回大会は監督選びから難航しました。
当初、2008年の北京オリンピックで日本代表監督を務めていた星野仙一が監督を務めるはずでしたが、世間からの逆風を理由に辞退し、プロ野球で日本一になった球団の監督がWBCの監督を務めるということになります。

その結果、西武ライオンズを日本シリーズで破った巨人監督の原辰徳がWBC監督になりました。
ちなみにこの時から「王ジャパン」といった監督名が入った呼び方ではなく、野球日本代表は「侍ジャパン」という名称で統一されることになりました。

メンバーは第一回大会から中島裕之、ダルビッシュらが加わり、メジャーリーガーとしてはイチローや松坂大輔、岩村明憲らが選ばれました。松井秀喜はヒザの怪我により、第一回に引き続き不参加となっています。

日本代表のメンバーの質は落ちていませんでしたが、第一回大会では優勝候補に上げられながらも2次リーグ敗退となったアメリカは辞退者が相次ぎ、ベストメンバーとは程遠い状態で参加するなど世界一決定戦という趣旨から反した動きも見られました。

第二回大会はさながら韓国とのライバル対決が印象的でした。
1次ラウンドでは韓国と1勝1敗で2位通過、2次ラウンドでも1勝1敗の末に1位通過を決めています。

準決勝ではアメリカと対戦するも、アメリカは前回大会からは大幅に戦力ダウンしていたこともあって9-4で快勝。決勝は宿敵・韓国との一戦でした。

9回裏まで3-2とリードしていたもののクローザーのダルビッシュが打たれ、3-3に追いつかれ延長戦へ。
そして10回表にイチローが神がかり的なヒットで勝ち越しを決めると、続投したダルビッシュが裏を締めて悲願の連覇を達成しました。

この試合は平日昼ながらも平均視聴率は36.4%、最高視聴率は45.6%と、サッカーのオリンピックに匹敵するほどの注目度でした。

メジャーリーガー不参加の第三回大会

2013年に行われたWBCは日本人メジャーリーガーが全員不出場となるなどやや盛り上がりに欠けるものとなってしまいました。
とりわけバッターが全体的に不作となっていただけあって、長打を打てる選手が阿部慎之助や中田翔などに限られており、スモールベースボールをモットーに世界と戦うことになりました。

第三回大会のハイライト

出足はいつになく悪く、強化試合では阪神タイガースに敗れるなど期待値もこれまでになく低いものでした。

1次ラウンドでも格下のブラジルや中国に思いもよらぬ苦戦を強いられ、キューバにはパワーで押し切らて敗れ、2位通過します。

1度負けたら後がなくなる2次ラウンドの初戦では、ここでも格下の台湾に大苦戦を強いられます。
7回まで0-2とリードされる展開でしたが、8回に阿部、坂本のタイムリーど同点に追いつくものの、裏に田中将大が打ち込まれて逆転を許します。

9回も2アウトとなり窮地に追い込まれますが、ここで1塁走者の鳥谷が盗塁に成功すると、追い込まれた井端が起死回生の同点打を放ったことで試合は延長戦に突入します。

10回に相川がヒットを放ち、3塁まで進塁したところで、中田が値千金の犠牲フライで勝ち越しに成功します。
裏の守りは杉内がランナーをだしながらも、ゲッツーで抑えるハラハラドキドキの展開で何とか初戦をものにします。

終わってみればこの台湾戦が第三回大会のハイライトとなり、平均視聴率は30.3%と高視聴率を記録しました。

続く試合に勝利することで2次ラウンド突破となる一戦は、当然キューバが上がってくるものと思われましたが、まさかの展開でオランダが勝ち上がってきます。

オランダはアンドリュー・ジョーンズやウラディミール・バレンティンら強打者を擁していますが、総合的には台湾よりも格下であり、日本は7回時点で16点を取る猛攻でコールド勝ちを収めます。

準決勝はアメリカでプエルトリコとの一戦になりますが、パンチ力に欠ける日本はメジャーリーガー多く擁するプエルトリコに地力で劣り、1-3で敗れています。

8回裏に井端がタイムリーを放ち、内川が続いたところで逆転のチャンスが有りましたが、ダブルスチールを試みた時に内川が飛び出してしまい、まさかのタッチアウト。この時点で勝ちの目が潰えてしまいました。

全体的に迫力にかける大会となり、大会は決勝でプエルトリコを破ったドミニカが優勝しています。

第四回大会の見所は?

このように第二回大会から第三回大会にかけてはスケールダウンしてしまった感が否めませんが、第四回大会はかなり見所があります。

まず何より新戦力となる選手が非常に豪華であることです。

投手では二刀流の大谷翔平、2014年MVPの菅野智之、魔球カーブが武器の武田翔太など。
野手は、トリプルスリーを達成した柳田悠岐、山田哲人。そして山田と同じポジションでは忍者のような守備でメジャーを驚かせた菊池涼介。松井秀喜以来の大砲と名高い、筒香嘉智も加わって長打力にも不安がありません。

それに加えて、今回はメジャーリーガーが合流する可能性があります。

ヤンキースのエースである田中将大はWBC参加に前向きで、ヤンキースのGMも参加を認める発言をしています。
同じ番組内ではドジャースで16勝をあげた前田健太も出場したいと話しており、もしかしたらメジャーリーガーから大谷翔平への継投なんていう夢のような光景が見られるかもしれません。

また小久保監督はイチローを始めとした全てのメジャーリーガーに直接説得に向かうとのことで、全員不出場となった前回大会とは風向きが大分異なります。

仮にメジャーリーガーが出場できなかったとしても、パンチ力に欠けた前回大会とは得点力が段違いなので、それだけでも十分期待できます。

WBCの組み合わせと日程

今回のWBCもこれまでと同じく、第1次ラウンドは各国で行われ、第2次ラウンドは日本およびアメリカで、準決勝以降は全てアメリカで行われます。

第1次ラウンドは4カ国ごとに4つのプールにわけられ、日本はプールAに入りました。
それぞれのプールの組み合わせはこのようになっています。

  • プールA
    • 日本、中国、オーストラリア、キューバ
  • プールB
    • 韓国、チャイニーズタイペイ、オランダ、イスラエル
  • プールC
    • アメリカ、ドミニカ共和国、カナダ、コロンビア
  • プールD
    • イタリア、メキシコ、プエルトリコ、ベネズエラ

各プールでは上位2カ国が2次ラウンドに進出できます。
最大の強敵は何と言ってもキューバでしょう。キューバは第一回大会では決勝で戦っており、第三回大会では2次ラウンドで敗れています。

プールAの試合日程

プールAの試合日程は以下のようになっています。

  • 2016年3月7日(火) 19:00~  日本 vs キューバ
  • 2016年3月8日(水) 12:00~  キューバ vs 中国
  • 2016年3月8日(水) 19:00~ 日本 vs オーストラリア
  • 2016年3月9日(木) 19:00~ オーストラリア vs 中国
  • 2016年3月10日(金) 12:00~ キューバ vs オーストラリア
  • 2016年3月10日(金) 19:00~ 日本 vs 中国
  • 2016年3月11日(土) 19:00~  プレーオフ

初戦は最大が山場となるキューバ戦です。
ここに勝利することで1位通過がグッと近づくでしょう。

登録メンバーをおさらい

最後に侍ジャパンの選出メンバーを確認しておきましょう。
これは11月時点での強化試合に向けたメンバーで、本大会に向けてはメジャーリーガーの選出などでメンバーが変わってくるはずです。

監督 小久保 裕紀
コーチ 権藤 博
コーチ 奈良原 浩
コーチ 大西 崇之
コーチ 仁志 敏久
コーチ 稲葉 篤紀
コーチ 村田 善則
投手 増井 浩俊 日ハム
投手 宮西 尚生 日ハム
投手 石川 歩 ロッテ
投手 秋吉 亮 ヤクルト
投手 野村 祐輔 カープ
投手 菅野 智之 巨人
投手 大瀬良 大地 カープ
投手 岡田 俊哉 中日
投手 山﨑 康晃 DeNA
投手 千賀 滉大 ソフトバンク
投手 石田 健大 横浜
投手 武田 翔太 ソフトバン
投手 藤浪 晋太郎 阪神
投手 大谷 翔平 日ハム
投手 田口 麗斗 巨人
捕手 嶋 基宏 楽天
捕手 大野 奨太 日ハム
捕手 小林 誠司 巨人
内野手 松田 宣浩 ソフトバンク
内野手 坂本 勇人 巨人
内野手 中田 翔 日ハム
内野手 菊池 涼介 カープ
内野手 中島 卓也 日ハム
内野手 山田 哲人 ヤクルト
外野手 内川 聖一 ソフトバンク
外野手 秋山 翔吾 西武
外野手 中村 晃 ソフトバンク
外野手 筒香 嘉智 DeNA
外野手 鈴木 誠也 広島

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